理想のリーダー像は「宇宙兄弟」のムッタ!経営者に必要な「人から力を借りる力」と「リスクを背負う覚悟」

寺田

皆さんこんにちは!「マンガ×U」編集長の寺田彩乃です。
皆さんは、「アスレティックトレーナー」という職業をご存知ですか?

アスレティックトレーナーとは?

アスレティックトレーナーは、スポーツトレーナーの一種です。メディカル部門に強い専門的なトレーナーのことをいいます。
選手の健康管理やケガ予防、救急処置、リハビリなど、医療に関わる高度なケアをおこないます。つまり、医療とスポーツをつなぐパイプ的な役割を担う仕事です。

引用元:https://www.iken.ac.jp/work_books/19590/

兵庫県尼崎市で、NSCA(全米ストレングス & コンディショニング協会)認定トレーナー4名、JASA(日本体育協会)公認アスレティックトレーナー11名を中心にトレーナー活動を展開している、地域密着型の接骨院渡辺接骨院

それを経営しているのが、今回お話をお聞きする山本大輔さんです。

今回お話をお聞きする経営者は…

山本大輔さん

山本大輔さん

有限会社ワタナベ代表取締役
日本体育協会アスレチックトレーナー

2004年に有限会社ワタナベに入社。そこからラグビー、ソフトテニス、バスケットボール、サッカーなどのチームスポーツのサポートに携わる。2007年から日本人初のスーパーラグビーレフリー久保修平氏のパーソナルトレーニングを担当。2018年より代表取締役就任後、現場に足を運びながらも経営と言う難しい分野も行っている。

寺田

本日は「渡辺接骨院」を経営されている、有限会社ワタナベ 代表取締役の山本大輔さんに、経営とマンガについてお話を伺います!
山本さん、よろしくお願いいたします!

山本大輔さん

はい!よろしくお願いします〜!

体を動かすのが好きな子ども時代

寺田

まずは、山本さんが経営者になるまでの経緯についてお聞きしたいと思います!

子どもの頃は、どんなお子さんだったんでしょうか?

山本大輔さん

スポーツが大好きな子どもでしたね。
水泳とか陸上とか。

僕、島で育ったんですよ。
香川県の小さな島で、、、人口が500人くらいかな?

小学校も、全校生徒が20数人くらいしかいないようなちっちゃな小学校だったんです。

寺田

そうなんですか!

山本大輔さん

休み時間はもちろんドッジボールとかもして、、人数が少ないんで全校生徒みんなで笑。

それが楽しくて、体を動かすのが好きになりましたね。

それで、確か小学校6年生の時に初めてサッカーのワールドカップをテレビで見て。

その時にロベルト・バッジョっていうイタリア代表のストライカーが、ワールドカップの決勝でPKを外して劇的に負けるっていう超有名なシーンを見たんですけど。

そこから僕すごいサッカーに興味を持って。
サッカーを見るのもするのもすごく好きだったんですね。
でも、すごく小さい島だったんで、サッカーのチームとかがなくて

寺田

あら!!

山本大輔さん

だから、遊びでサッカーするのは好きだったんですけど、本格的にやるってことはできなくって。

その流れでサッカーマンガの「シュート!」は好きでしたね。

山本さんが子どもの頃に
よく読んでいた「シュート!」

怪我がきっかけで
スポーツトレーナーを
目指すも挫折

寺田

スポーツ少年だった山本さんが、今のお仕事をするようになった経緯を教えていただけますか?

山本大輔さん

自分自身が、スポーツトレーナーの人にお世話になったことがきっかけですね。

僕、高校は陸上の選抜選手だった先輩に憧れて同じ高校に行ったんです。
島外の高校だったんで、下宿して。

でも僕が行ったタイミングで先輩を教えてた先生がいなくなっちゃんたんですけど笑

寺田

それは残念、、!

山本大輔さん

そこで3年間陸上競技に打ち込んで、その時に、怪我とかもするんでよくスポーツトレーナーの方にお世話になって。

こういう職業あるんだ、なりたいなって憧れるようになりました。

寺田

先輩の次のロールモデルがそこで見つかったんですね!

山本大輔さん

そうなんです。

それで次の進路はスポーツ科のある大学を希望してたんですけど、、、。

スポーツ科は全て落ちてしまって

しょうがないので、滑り止めで受かった商業科に行くことになったんです。

寺田

それは辛い、、!
私も現役の時大学受験失敗したので他人事と思えないです。

ひょんな出会いがきっかけで
大学入って1ヶ月で中退を決意

寺田

でも、今はスポーツトレーナーのお仕事をされてるということは、どこかでちゃんと軌道修正されたということですよね?

大学の商業科に進んでから、どうやってスポーツトレーナーの道へと進まれたんでしょうか。

山本大輔さん

大学入ってまもない頃、一人暮らししてたアパートに英語教材の訪問販売が家に来たんです。

これが運命の出会いだったんですよね〜。

寺田

英語の教材販売が??

山本大輔さん

その訪問販売の営業のお兄さんと、身の上話でめちゃくちゃ盛り上がったて笑。

玄関先の立ち話だったんですけど、、。「大学おもんない、やっぱスポーツに関わることがしたい」って話をしたんですよね。

そしたら、お兄さんめちゃくちゃ良い人で、すごい親身になって、僕の話を聞いてくれて「それやったら絶対今からでもちゃんと行きたい方向に行くべきや!」って言ってくれたんですよね。

その後、英語教材の営業も何もせずに帰っていったんですけど笑。

寺田

え〜!!!めっちゃ良い人!ただただ良い人じゃないですか!笑
その人がもはやマンガのキャラクターっぽいですね笑。

山本大輔さん

そうそうそう笑。
で、それきっかけで、「まじで大学やめよう!」と思って。

寺田

おお!

山本大輔さん

それで、5月頭くらいかな?実家に帰って、親に頭下げて。
「ごめん、やっぱりちょっとやりたいことがある。専門学校行きなおしたい」って言って。

うちの親はありがたいことに「好きにしたらええやん」ってタイプの親だったんで、大学を辞めることを許してもらえて。

そこから大学をやめて、1年くらいアルバイトして、次の年に専門学校に入り直したんですよ。

それがトレーナーの専門学校だったんです。
そこで3年間勉強してトレーナーの資格を取りました

寺田

なるほど!そこで、軌道修正ができたわけですね!

気が付いたら経営者になっていた

寺田

そこから、経営者になるまでにはどんなストーリーがあったんでしょうか?

山本大輔さん

実は僕、ノリで社長になったんです笑

寺田

ノリで!?

山本大輔さん

専門学校生の時に行った実習先のトレーナーの先生に「うちで働かへん?」って言われて、就職したんですよ。

で、そこでそのまま経営やってます笑

寺田

すごい!

山本大輔さん

そもそもその実習先に行ったのもめちゃくちゃ「ノリ」で行ったんですよ。

「この時期ならここに行けますよ〜」って感じで実習先がいくつか発表される中で、僕はなかなか行けるところがなくて行ってなくて。

たまたま、今の職場だけ、条件とか、どんな人がいるとか、やる内容とか何も情報がなくて笑。

「まあいっかとりあえず行ってみよう〜。」と思って行ってみたのがきっかけだったんです。

寺田

そうなんですか!笑

山本大輔さん

僕、今振り返ってみると、戦略的に何か考えてとかじゃなく、「ノリ」で決めることが多くて笑。

ジョブズが言ってた「コネクティングドット」って言葉あるじゃないですか。

今思えば、あれもこれもドットで、それがつながってたんだな〜って思うんですけど。

寺田

面白いなあ〜。

私は今までのお話を伺って、「山本さんってすごく素直というか、人を信じる人なんだなぁ」って感じました。

山本大輔さん

そうですか!?

寺田

初めて話した初対面の人に「それやったら絶対今からでもちゃんと行きたい方向に行くべきや!」って言ってもらって、山本さんみたいに「そうやな!」ってなる人もいれば、「一回しか話してないし自分のこと何も知らないのに、、」ってなる人もいると思うんですよね。

山本大輔さん

ああ〜!

、、、多分ですけど、今振り返ると、行きたい方向はすでにあって、それに賛同してくれる人をきっかけに、そっちに行ってるっていうのもあるかもしれないですね。

特に大学辞める辞めないの部分については、その時は意識はしてなかったけですけど、「辞めたい、諦めたくない」というのは潜在的にはあったんだろうなと。

寺田

なるほど!!

山本大輔さん

経営者になったのも、元々、起業家になることは20代後半くらいから視野には入れていて、コピーの勉強したり、マーケティングやったりっていうのは準備としてやってたんですよね。

ただ、今の会社で経営者になろうとは思ってなくて、、。

うちの会社、僕の前に二人経営を引き継ぐ予定だった候補の人がいたんですよ。

そしたらその二人が辞めてしまって。
で、僕が候補に上がってって感じで。

だから別に僕が自分から「やりたい」って言ったわけではなくて笑。

もちろん嫌々なったわけではなくて、「やらせてもらえるなら、良い経験になるだろうし」と思って前向きに引き受けたんですけど。

寺田

なりたい方向は明確にあって、それに対しての準備をしっかりしてきたからこそ、チャンスがあった時にすぐにその波に乗ることができたんですね。

ロールモデルは
「宇宙兄弟」のムッタ

寺田

ノリで経営者になった、とおっしゃってましたが、そんな山本さんがなりたい「経営者像」ってあるんでしょうか?

山本大輔さん

僕は「周りから助けられるリーダー」っていうのが最強だと思ってて。

僕の尊敬する経営者さんが言ってたんですよね。
「優れた人に力を貸してもらえる力が何よりも大事だ」って。

実際に経営をしてチームを動かしていく中で、自分一人で出来ることってたかが知れてるし、僕自身完璧な人間ではないので、

いかに優れた能力を持った人たちの優れた部分で集まって勝負していくか、っていうのは大事だと思っていて。

だから「人に力を貸してもらえる力」を持てる人になりたいなと。

マンガのキャラクターだと、「ワンピース」のルフィとか、「宇宙兄弟」のムッタとかそうですね。

自分の位置をちゃんと知ってるというか。

自分はまだそういう風になり切れてないんですよね。
自分の能力を上げたくなってしまって、、、。

でも、それだと頭打ちになってしまうっていうのは分かってるんで。

山本さんの理想とするリーダー像

「ONE PIECE」の主人公ルフィ
「宇宙兄弟」のムッタ
山本大輔さん

あと、経営者って「腹を括ること」がめちゃくちゃ大事だと思うんですよね。リスクを背負う覚悟をするっていう。

「いつでも逃げられる距離感におるな」っていうのって、思ってる以上に周りに伝わるんで、それだと誰もついてこないし、影響力も持てないじゃないですか。

それに、腹を括れないままでいると、実は疲れるんですよ。
これは自分自身が腹を括ることができて、それで実際に感じたことなんですけど。

腹を括れてない時って、「いつになったら逃げよう」とかって余計なことを考えるんで、すごく疲れるんです。

それが、腹を括れると、それを考えなくて済むので、楽になるし、決断も早くなるんですよね。

「宇宙兄弟」のムッタは、その「腹の括り方」っていう点でもすごいなって思います。

僕にとって「宇宙に行く」って、死にに行くようなものって印象があるので。

僕、子どもの頃に、日本人で初めて秋山さんが宇宙に行ったのを見てた時に、「息ができんくなることの怖さ」っていうのをすごい想像してしまって。

宇宙って、空気がないわけじゃないですか。
プチッと線が切れたらどこまでも永遠に彷徨い続けるわけじゃないですか。

そこから、「宇宙に行く」ってめちゃくちゃ怖いなって思うようになって。

寺田

確かにそう考えたらめちゃくちゃ怖いですね、、、!!!

山本さんにとっては、「宇宙に行く」というのは「命がけで死にに行くようなもんだ」って前提があるからこそ、余計に、「宇宙兄弟」を読んで、キャラクターたちの行動やセリフとかが「すごいな」って感じられると。

山本大輔さん

そうなんです。

それに、やっぱり「宇宙に行きたい人」ってまっすぐなんですよ。

「宇宙兄弟」も、キャラクターは、過去に色々あってひねくれたりしてる人もいたりとか、色々なんですけど、「宇宙に行きたい」って想いはまっすぐで、そこが気持ち良いというか。はっきりしてるんで。

そこはやっぱり良いなあと思いますね。

なんか、僕、「宇宙兄弟」にはすごく引き込まれるんですよね。

毎週書いている「マネジメントレター」にも、よく「宇宙兄弟」のセリフを引用させてもらってます。

漫画家に学ぶ
「自分をさらけ出す」方法

寺田

マネジメントレターを毎週書かれてるとのことですが、それってスタッフさん向けのお手紙みたいなものなんでしょうか?

山本大輔さん

そうですそうです。

僕、チームがうまく行くために「心理的安全性」がすごく大事だと思っていて。

そのために、今毎週マネジメントレターを書くようにしてるんです。

心理的安全性とは?

「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。

引用元:人材育成・研修・マネジメント用語集

山本大輔さん

最初、言葉として知った時は「なるほどね〜、心理的安全性って大事なんやな〜」とかって思ったくらいだったんですけど、

でも、実際に事業を回して、色々と上手くいかないこととか、チームとして一つにならん、って状況をずっと見てた時に、「なんやろ?」と思って行き着いたのが「心理的安全性」だったんですよ。

「やっぱりこれって絶対必要なことやな〜」って思って。

Googleが言ってたからとかそういうのじゃなく、本当に実体験としてそうやなって。

「これはもう時間がかかろうが、何しようが、絶対せなあかん!」って思って。

それで、毎週マネジメントレターを書くようになったんですよ。

テーマは、「心理的安全性」で、内容は毎回少しずつ変えて。

「心理的安全性」をつくるためには、「自分の弱味」を出せることってすごく大事じゃないですか。

寺田

そうですね。

山本大輔さん

でもそのハードルって結構高いじゃないですか。

寺田

確かに高いですね!

山本大輔さん

で、ある本を読んだらこんな一文があったんですよ。

「心理的安全性が確保できてない組織の一番の原因はリーダーです」と。

「まさしくそうやなあ」って思って。

自分自身が弱味をさらけ出せてないのに、スタッフが出すわけないじゃないですか。

で、最初は、心理的安全性の大事さを事例を変えて伝える、ってくらいのだったのを、途中から、自分の実体験の中から捻り出して、「あの時こういうことがあって、こういう風に思った」ってことを書くようにしていったんですよ。

寺田

おおお

山本大輔さん

それで毎週書いてたら、ちゃんと読んでるかは知らんけど笑、僕の中でなんか手応えが出てきて。

「これ、みんなにちゃんと伝わってきてるな、信頼してもらえてるな」っていうのを、リアルの会話の中とかで、空気で感じられるようになってきたんですよ。

寺田

なるほど、言語外の空気で!!

山本大輔さん

そうそう。

ちょっと読まれたら恥ずかしくなる体験とか、本当だったら隠したい体験とかを出すことで、それ(空気)がだんだん醸成されていったような感覚があって。

寺田

なるほどなあ。

山本大輔さん

僕ね、漫画家って職業をめちゃくちゃ尊敬してるんですよ。

僕は、こういう「自分の恥ずかしいところ」を見せるのって、社員だけで良いけど、

でも、漫画家って、それを全国民に対してやるわけじゃないですか。

寺田

確かに!!!

山本大輔さん

もちろん、表現を変えてるし「自分のこと」としては描いてないですけど。

でも作品には、自分を投影しているはずだし、見る人も、そういう風に、見る人は見るわけじゃないですか。

「それをしてる勇気ってすげえな」って思うんですよね。

寺田

勇気!本当そうですね、、。

山本大輔さん

だから、本当に「吐露」できてる人の漫画は人を惹きつけるんだろうと思うし。

「呪術廻戦」とかもまさにそうだと思うんですよね。
この作者は多分すごい負の感情で生きてきたんやろうなって思うんですよ。

人って負の感情をどう扱えば良いのか悩むじゃないですか。
それで人によっては、負の感情をただ他人を攻撃するって方法で出してしまう人もいれば、人に良い影響を与えられる方向に持っていける人もいるわけで。

そういう中で、漫画家はそれを「マンガ」っていう本当に良い形に昇華してるのがすごいなって

会社の中に
自分をさらけ出せる
場所を作りたい

寺田

最後に、山本さんの今後のビジョンを教えていただけますか。

山本大輔さん

そうですね、僕としては、自分たちが関わる人がみんな笑顔になってくれたら嬉しいなと思っています。

今までは、エンドユーザー、お客さまが笑顔になってくれたらって思ってましたけど、

今は、お客さまだけじゃなくてスタッフだったり、スタッフの家族だったり、自分に関わる人が全て笑顔になれるっていうのが一番大事なポイントなんです。

事業としては、それを「体のサポート」っていう面でしっかりできなたらなというのと、

あとはスタッフの笑顔という点では、「サードプレイス」を、なんとか会社の中で作りたい。

「自分をさらけ出して良い場所」としての会社にしたい。

それが実現できた時に、すごい爆発するんじゃないかなって気がしてて、
そのために今「心理的安全性」のところを一生懸命やってるんですけど。

それで自分も思いもよらなかったところまで行けたら良いなあ、面白そうだなあって思います。

「思いもせんかったけど、ここまでこれたなあ」って言える人生って楽しそうだなって。

寺田

そういう会社、人生が創れたらきっと楽しいですね!

山本さんが「宇宙兄弟」の話の時に、「宇宙を目指す人はみんなまっすぐだ」と、おっしゃってましたが、

山本さんご自身も、小さい頃からスポーツが好きでその道を貫いてるあたり、すごくまっすぐな方なんだなと思いました。

そんな山本さんなので、きっと、これからもまっすぐ、ご自身の目指している方向へと進んでいかれるんだろうなと思います。

お忙しいところ、素敵なお話をありがとうございました!

山本大輔さん

こちらこそ、ありがとうございました!

渡辺接骨院の
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